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2009年9月26日 (土)

中津川林道実走

秋晴れのなか、中津川林道をパスハンターで走ってきた。
中津川林道は、勾配がゆるい中津川沿いの部分について、トロッコ鉄道の廃線敷を基礎として開設された林道である。そこで、通常の探訪記事を「中津川林道実走」とし、トロッコ鉄道の痕跡に主眼を置いた記事を「中津川森林鉄道」とする2本の記事にまとめることとした。なお、中津川林道は、現在、秩父市道大滝幹線17号線となっているが、一般的な呼称である「中津川林道」と呼ばせていただくこととする。

中津川林道は、1981(昭和56)年のゴールデンウイークに友達2人と3人で三国峠側から下ったことがある。前後は定かではないが、中津川側から登ったこともある。いずれにしても30年近く前の話である。
この頃になってパスハンターを復活させ、とりあえず定峰峠周辺の未舗装林道を走ろうかと思っていたが、大弛峠や中津川林道を走っていた当時の記憶がよみがえり、どうしても中津川林道を走ってみたくなってしまった。ということで、先日の「川上村ポタ」の帰りに、中津川林道を三国峠側から自動車で下り、下見をして来た次第である。

前日、スケジューラと手帳を見る。「夜の7時から会合があるけど・・・よしっ、明日行こう!」と即決。速攻、コンビニに買出しに行く。スポーツ飲料、ウイダー、SOYJOY等を大量購入したため、家族には何を考えているかバレバレであるが、ワクワクしてくる。

当日は、外が明るくなった頃に目が覚めた。熊鈴代わりのカウベルを自転車のハンドルに付け、自動車にiPodを先日と同じフォルダでセットし、愛車に愛車を積み込んで出発。普段と違う持ち物は、消毒液、傷テープ、ムヒである。しばらく走って、国道299号線に入った頃、最初の?「あ゛・・・っ」である。デジカメの電池を充電器に入れてコンセントに差したままにしてきたことを思い出したのである。やむなく戻る。かなりの時間をロスしてしまった。

国道299号線から140号線を走る。旧大滝村役場(現秩父市役所大滝総合支所)前を通過するときに「大瀧村道路元標」が見えたので撮影する。
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滝沢ダムを経て県道210号(中津川三峰口停車場)線に入る。道路の真ん中に樹が生えている。さすがに巨木なので、恐れ多いので残したものなのであろう。手前の中央分離帯の警告標識がダンゴのように見えて面白かった。

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少し進むと仏石山トンネル。右側に沢沿いに進む旧道が見える。この辺りでは、このパターンが非常に多いような気がした。

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その後も順調に進み、中津川林道沿いの埼玉県森林科学館に到着。オフロードバイクの一団が先着している。駐車場には車が2台、当方は3台目である。静かである。やおら準備をして出発。まずは下って中津川林道の起点を目指す。しかし、中津川林道の起点標識(正確には旧大滝村の村道17号線の起点標識)が見つからない。探索開始。すぐに痕跡を発見。自転車の前輪の前の円柱状のものが基点標識の基礎である。良く見るとガードレールも曲がっており、起点標識君は、車にハネられて頓死したものと見込まれる。

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道路の下には、変わり果てた姿となって基点標識君が落ちていた。それにしても、この基点標識君、ちょっと骨が弱そうである・・・。

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2.1キロ(獲得標高50m)(←ポラールでの計測。以下同じ。)走って、埼玉県森林科学館に戻ってきた。

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しばらく走ると、中津川林道利用上の注意の大きな看板がある。12月1日から翌年4月30日まで冬期通行止、午後5時から翌日午前8時まで夜間通行止等の注意書が書いてある。奥の建物は中津川渓流釣り場である。

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起点から3.4キロで舗装が終了しダートが始まる。少し走ると、左側に昭和34年度の中津川林道開設での殉職者の碑があった。手を合わせる。しばらく走ると、ここだけではないが道路標識がある。右カーブ注意と警笛鳴らせである。標識とともに見るべきは「支柱」である。何とトロッコ鉄道のレールが利用されているのである。中津川林道の道路標識には、いろいろとバリエーションがあっておもしろいが、ネット上に記載があった「CAUTION」という英語の標識は、ついぞ見つけることができなかった。

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起点から4.8キロ(獲得標高121m)で、鎌倉橋(昭和35年3月竣工)に到着である。この橋は、トロッコ鉄道の痕跡を色濃く残す橋であるが、その詳細は「中津川森林鉄道」に譲ることにする。

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起点から6.8キロ(獲得標高165m)で、ガク沢橋(昭和35年10月竣工)に到着である。景色が変化に乏しいので、目標になるのは橋である。

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しばらく進むと、社営林作業道学沢線分岐を過ぎる。社営の「社」は埼玉県森林公社の「社」であるが、今は、農林公社の「社」かもしれない。やがて、右側に川石の石垣が見事に続く。中津川林道の土留め(擁壁)は多くのパターンがあっておもしろいが、この辺りの石垣は古いものだと思う。

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その後、森林管理道大山沢線の分岐を過ぎて、信濃沢橋(昭和35年11月竣工)に到着である。起点から8.4キロ(獲得標高230m)の位置である。ここからはトロッコ鉄道の支線があったようであるが、それらしき平坦地はあるものの、それ以上の確認はしていない。ここから勾配が、若干ではあるが強まり始める。

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そして、いよいよ素掘りのトンネルである。起点から8.6キロ(獲得標高239m)の地点である。いい感じである。掘った人は大変だったろうな・・・と思う。

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しばらく進むと、起点より10kmの標柱があった。ポラールで確認すると、誤差は162mのみ。どっちも正確なのだと思う。やがて、「中津・西沢の大カツラ入口」の標柱が見えてきた。起点から11.1キロ、(獲得標高341m)の地点である。百メートル程度奥まで歩いてみたが、大きな樹は見えなかった。

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いよいよ本格的な登りであるが、それが始まる手前、起点から12キロ辺りにある広いスペースで一休みである。休憩時間は10分で、コンビニオムスビなどを食べる。ここいら辺で2人の方と話をする。一人は渓流釣り?の方、もう一人は、輪行で信濃川上からというMTBの方である。しばし話をする。
12kmの標柱辺りから勾配が一気にきつくなり(約10.7%)路面も荒れてくる。そして12.5km標柱を過ぎた切通しを抜けると、ウリウリの始まりである。非常にシンドイ。前2枚、後5枚では足りない感じがし過ぎるが頑張る。
やがてガードレールが見えてきた。トロッコ鉄道のレールでできた文字通りのガードレールである。レールの製造会社等を思い浮かばせるものはない。この頃、レールつながりということではないが、宮沢りえの「ドリームラッシュ」が頭の中で回り始めた。

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少し走って大きな岩があった。見ると、昨年のものか巨大な蜂の巣が見える。写真では分かりづらいが、中央やや右の紅葉した葉のあたりである。

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しばらく走って、2度目の「あ゛・・・っ」である。なんと左(後)ブレーキのレバーがハンドルから「もげた」のである。とにかく焦った。汗、汗、汗である。起点から14.3キロ地点のことである。少し緩んできたな・・・との印象はあったのだが、いきなりであった。
とにもかくにも、下りでなくて良かった。レバーのあるべき位置の左側に見えるのが熊鈴代わりのカウベルである。

とりあえず、その場で後輪をはずし、ブレーキワイヤーを緩め、ネジを締めなおして修理完了。所要時間12分52秒。

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その後、ウリウリと登り続ける。16km標柱過ぎの辺りと18キロ地点の辺りでは押しである。前回車で下ってきたとき「ここは押しだな・・・」と思ったのが18キロ手前の通称「ブタ岩」の附近である。無理である。今日も転倒しているオフロードバイクの方がいた。痛そうであった。
起点から18.7キロ(獲得標高854m)で、西沢橋(昭和40年10月竣工)に到着である。鎌倉橋などの平坦部分の橋に比べると完成が5年遅い。開設工事の進捗を知ることができる橋である。この橋の親柱はおもしろい。通常は、橋の名称と下を流れる河川や沢の名称が彫られているものであるが、なんと「中津川林道」と彫られているのである。

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起点から19.4キロ(獲得標高911m)で、三国橋である。親柱や欄干が流れ去っている。かなり厳しい環境である。

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しばらく進むと、起点より20kmの標柱があった。ポラールで確認すると、誤差は411m。ポラールの方が長めに計測している。かなり誤差がたまってきた。本日の最高心拍174拍はこの手前のぎりぎり登れる急坂で記録。

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残りは少しである。閉鎖用のゲートである。よく見ると、これもトロッコ鉄道のレールでできている。しかし、このレールの再利用は、どういう発想なのだろう。昔を保存する、例えば、古い家の材木の一部を新しい家に使うとかの発想に似たものか、それとも、材料を現場調達する方が比較設計では安かったのか・・・。いろいろと理由はありそうであるが、最終的には設計技師の発想によって決まるような気がする。

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やっとのことで三国峠に到着。起点から20.6キロ(獲得標高993m)、平均勾配4.8%(12キロ地点以降の平均勾配は6.9%)、所要時間4時間26分45秒である。今回は探訪にかけている時間が非常に多いので、行程の参考にはならない長い時間である。三国峠では650ccのBMWに乗った方に、例の標識の前で写真を撮ってもらった。切通し越しに長野県側を望む。

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川上村の標識前で記念撮影。お茶を飲んで、ウイダーを食し、8分39秒休憩。

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Uターンである。下りで気をつけたいのは、横断側溝にはまらないこと、タイヤサイドを裂かないこと、リム打ちパンクを避けること等である。勾配が急な区間では、横断側溝は木製である。と言ってもかなり埋まっているが、侮ってはいけない。加えて、犬釘が「生えている」感じである。頭がないのもあって要注意である。この犬釘がトロッコ鉄道のものかどうかはわからない。

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影が少し延びてきた。時間がない。慎重に急いで下る。しかし、ガタガタすごい振動である。サスペンションがついているMTBならこの振動はないんだろうな・・・と思う。手が痛い。その内にリフレクターのネジが緩んでくる。人間のネジも緩みそうな振動である。冗談はともかく、緩むと締めるを繰り返していたが、面倒くさいので外してしまった。以降は異音の発生もなく快調に下るかと思いきや、3度目の「あ゛・・・っ」である。「何だ? あの棒は?・・・」 タイヤがロックする程のブレーキをかけて回避。もちろんヘビ君である。

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埼玉県森林科学館に帰着。朝、出発した時と全く同じ状況である。でかける時は、こまどり荘で入浴してから帰ろうと思っていたのだが、時間がなくなってしまったので諦める。そそくさと出発する。後に義務的な用件が控えているのは、精神的に良くない。でも、走れたからいいじゃん・・・とか思う。

旧荒川村から秩父市街に入る辺りで、4度目の「あ゛・・・っ」である。フロントガラスの内側をキラキラ光るトカゲ君が動いている。勘弁してよ・・・。中でバタバタしながら、サイドミラーを見ると後ろのトラックの運転手が笑っている。後ろからって良く見えるんだ・・・と思う。無事、お引取りいただいた。

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しかし、せわしかったとはいえ、秋晴れの楽しい1日が過ごせた。驚くことも多かったが、のんびりまったりするには、やはり時間が必要だと思う。

※ この記事の写真は通常の半分のファイルサイズになっています。

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コメント

僕も、シクロクロスを購入して、この中津川林道を走ろうと思っていた矢先、先を越されてしまいました。
が、僕も昨日、ブナ峠のがれた下りを、シクロクロスで走りましたが、予想以上の衝撃にびっくり仰天。
下りで疲れるとは思いもしなかったです。
いつか、晴れた日に、このブログを参考に、行きたいと思っています。

露払いに行ってまいりました(^^)
下りの振動は確かにすごかったです。リフレクターにはスプリングワッシャーを入れようかと思ってます。
自走だと軽く200キロ超ですね。加えて、日が短くなる一方ですから日程調整が忙しいですね。

これが中津川林道なんですね。
写真を拝見すると、
なんだか不思議な重みを感じますね。
生きながらえてきたモノだけが持つ重みみたいな・・・。
パスハンターも風景の一部になってますし、
まさにBLOGタイトル通り"探訪"ですね。
僕も走ってみたくなりました。

>たけきよさん
長い時間を静かに過ごしてきたものとの邂逅というか・・・自分の人生と同じような時間であればちょっとした親近感もありながら、かと言って、近づき過ぎてはいけないような・・・ってな感じかな?

こんばんは。
信濃川上から三国峠を越えたMTB乗りです。先日はお疲れ様でした。
ハンドルに着けられたベルを覚えております。笑
今後もよろしくお願いいたします。

>ほえ~さん
コメントありがとうございます。
道中で会話した方は5人で、自転車乗りはほえ~さんお一人。お見かけした瞬間、ちょっとほっとした気がしました。
今後ともよろしくお願いいたします。

初めて書き込みさせて頂きます。

昨日36年振りに三国峠を登ってきました。
それに先だってこちらのブログを拝見し、知らなかった様々な事を
事前知識として得られたお陰で楽しく登って参りました。
早速私のブログにも記事を書きましたが、中でこちらのブログの事も
失礼かと思いましたがご了解無しに載せさせて頂きました。
もし不都合が有りましたら直ぐに削除させて頂きますので御連絡の程
ヨロシクお願い致します。

>east bredさん
コメントありがとうございます。
36年の歳月を隔てての三国峠の再訪には感慨深いものがおありだったろうと思います。
そのような再訪に当ブログを行程の参考としていただきありがとうございました。
引用等、基本的に支障ございませんのでお気になさらずにお願いします。

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